かきたいとこだけ雰囲気メモ

*ブロマンス風味

 

やはり彼にはよくわからなかった。甘酸っぱいとかなんとか、よくわからなかった。ただ目の前の男が失われることを考えると、むねのあたりがきりきりと痛んで、なんだか苦しく、泣きそうになった。もういちど、男を見た。微笑んでいた。冬の、優しくない風、突き放すようなきびしさを持つ風が、男の髪をぶわ、と揺らしている。吐息も、風のかたちに揺らめいた。たちくらみをおぼえる。きれいだ、と彼は思った。